ショパン・ピアコン第1番 余話(前)(R4.1.27記) [楽曲]
第18回ショパンコンクールで見事2位に入賞した反田恭平のファイナルの演奏曲は「ショパン・ピアノ協奏曲第1番」でした。
この曲を聴くと、古い友人のピアノ好きの奥様の「笑い話」を思い出します。
昔この友人の奥様が、朝、ゴミを出しに行く途中、アルゲリッチのこの演奏を想起しながら、第一楽章の冒頭部を「♬♬♬・・」と口ずさんでいたら・・・・・・
・・・・ ご近所の奥様から、「あ~ら♬都はるみですか。いい曲ですね」と声を掛けられて、返答に窮して「え~、まあ」と苦笑せざるを得なかった、というお話です。
都はるみの「北の宿から」は1975年に発売された楽曲ですが、阿久悠作詞、小林亜星作曲で、140万枚を超える売り上げを記録し、日本レコード大賞と日本有線大賞をダブル受賞した、昭和歌謡を代表する楽曲です。
この曲が発表された当時、その旋律の一部がショパンのピアノ協奏曲第1番のピアノ独奏部分の冒頭部に類似していて、盗作ではないかと指摘されましが、作曲した小林亜星自身はこの曲を元に作曲したわけではない、と述べたそうです。
仮に盗作とされても、ショパンは1849年に亡くなっていて、「北の宿から」が発表された1975年時点では、ピアノ協奏曲の著作権は日本において著作権の保護期間を満了し消滅しているので、法的にはお咎めなし、ということなのだそうです。
でも、反田恭平が「一番好きな楽曲」だという、ショパンのピアノコンチェルト第1番。
その旋律に、盗作とまではいえないまでも、インスパイア―されたであろう「♬ 北の宿から」が、昭和歌謡の代表的な楽曲として記憶されているということは、ショパンの偉大さの証しなのでしょう。
そして「♬北の宿から」の発売から20余年後に、その小林亜星自身が自作の著作権侵害に対して損害賠償訴訟を起こすことになるなんて、夢想だにしなかったでしょうね(笑) (続く)